コンサルティング営業に同行した際に上司・先輩から「最大の学び」を得るため3つのポイント

上司・先輩に同行した時に「コンサルティング営業に関する最大の学び」を得るために、観察すべきポイントとは?

僕は、ソリューション営業⇒コンサルティング営業を通算して10年以上やっていますが、今でも上司・先輩に営業同行する時は必ず以下の3つのポイントは意識して同行するようにしています。

そして、自分の営業の型に組み込めるもの、つまり、盗めるものはすぐに盗んで忘れないように手帳に書き留める、または、すぐに自分の言葉としてアウトプットすることを意識しています。

ポイント1 商談前に「商談のゴール」と「その達成のための商談プロセス(仮説)」を上司・先輩に確認しておく

予定している商談のゴールとプロセス(仮説)を事前確認しておくことで、そのゴール達成のために上司・先輩がどのようなコミュニケーションを行って、商談を現場で進めているのか理解しやすくなります。

このゴールと商談プロセス(仮説)の理解がないと、せっかく営業同行しても、上司・先輩が何をしているのか理解できないため学びがどうしても少なくなってしまいます。

ポイント2 商談終了後、「実際の商談プロセス(事実)」を「そのシナリオを動かした『質問』と『情報提供』」の2つの視点で自分なりに分析する。また、理解できない点は早めに質問する。

コンサルティング営業が商談プロセスを「主導的」に進めるために行う行動としては大きく「質問」と「情報提供」の2つです。

ただし、この2つは厳密に分けることができないものであり、両方を組み合わせて使う場合がほとんどであることに注意が必要です。しかし、学びを得るという観点では「あえて分けた方が理解しやすい」ため、ここでは分けて解説します。

<質問>

まず、質問を分析する際のポイントです。一般的に「営業力は質問力である」と言われるように、結果を出す力がある営業職は総じて質問力が高いです。切れ味の鋭い問いを投げる営業を目指しましょう。

しかし、一朝一夕で向上しないのも質問力というスキルの特徴です。なぜなら、質問力の高さは、社会人・営業としての経験、そして、専門知識、事例の量によって変わるからです。

そこで、ソリューション営業の未経験者におすすめの方法があります。上司・先輩がどのような質問をしたか、そのままメモを取るすることです。このメモが取ることで、「このような質問をされていましたが、どういった意図でされたのですか?」といった具合で、効果的な振り返りをすることが出来ます。

併せて、その質問が特定の回答を求めない「オープンクエスチョン」なのか、特定の回答を求める「クローズクエスチョン」なのかも分けて考えると良いと思います。ただ、ここでも注意が必要なのはオープンクエスチョンもクローズクエスチョンも組み合わせながら使うことで最大の効果を発揮するということです。

<情報提供>

次に情報提供ですが、これも「コンテンツ提供」と「フレーム提供」の2つに分けると理解しやすいです。この情報提供については、頭に入っている情報の源泉の量に比例して、質が変わるため、上司・先輩と自分とのギャップが見えやすため、「自分がどの情報を知らなかったのか?」を意識することで課題を形成することが可能です。

まず、コンテンツ提供です。これは、顧客が知らない情報をインプットして、考えるための材料を提供することを意味します。これもさらに3つに分けると良いと思います。解りやすいのは「営業トーク」「専門知識」「事例」です。特に初心者の時は、営業トークを書きためるとよいと思います。一言一句、どのような言い回しを上司・先輩が言ったのか書いて、それを自分なりに言葉にしてみることで「自分の営業トーク」に加えることが出来ます。

次に、フレーム提供です。これは、顧客の頭の中を整理整頓するための思考の枠組み(フレームワーク)を提供することを意味します。これもさらに2つに分けることが出来ます。「既存のフレーム」「自分で作ったフレーム」です。既存のフレームは領域によりますが、すでに営業資料として社内にある場合がほとんどです。一方で、自分でフレームをつくるのは未経験者には難しいかもしれませんが、「自分でフレームを創る」意識をすることで、競合に優位に立てる可能性が高まります。

ちなみに、ソリューション営業時に使いフレームは「問題・課題解決思考を加速するための枠組み」であることがほとんどですが、「拡散のために使うフレーム」と「収束のための使うフレーム」のいずれかです。その分け方でフレームを整理しておくとよいかもしれません。

なお、コンテンツとフレームは厳密には、分けきれない場合がほとんどです。コンテンツを前提としたフレームの場合は、両方を同時に提供していることになります。ただ、分けたほうが解りやすいためここではあえて分けて解説しました。

ポイント3 質問と情報提供という行動の背景として、何を考えたか?上司・先輩の「思考プロセス」を分析する。

質問と情報提供という顧客との「コミュニケーション」の背景には、顧客の問題・課題を解決するための思考が必ず存在します。思考は基本的に目に見えないため、分かりづらいです。しかし、この思考力こそが、上司・先輩と自分との「圧倒的な差」になっていますので、この思考プロセスを分析することを愚直にやると思考パターンを学ぶことが出来ます。

そのためには、上司・先輩が「なぜその問いをそのタイミングで投げたのか?」「なぜそのコンテンツ情報を提供して、考える材料を与えたのか?」「なぜそのフレーム情報を提供して、顧客の頭を整理しようとしたのか?」という問いを起点として、思考プロセスを分析することが前提として必要です。

なお、可能であれば上司・先輩の商談ノートを見せてもらうとよいでしょう。そして、上司先輩のノートと自分のノートを比較することで、思考プロセスの違いを明確にしやすくなります。

たまに、ノートと取らずに頭の中だけで考えている営業がいますが、おそらく大した営業ではありません。なぜなら、我々凡人は「言葉を書くことで、初めて思考することができる」からです(思考についてはまた別の機会にご紹介します)。とにかく、未経験者のうちはメモを取って言葉を紙に落とす、そして紙に落とした言葉を起点にして上司・先輩の思考プロセスを学び、自分の思考プロセス強化のヒントにする習慣をつけることをお奨めします。

まとめ

以上をまとめると、以下のようになります。

商談前に「商談のゴール」と「その達成のための商談プロセス(仮説)」を上司・先輩に確認しておく。

商談終了後、「実際の商談プロセス(事実)」を「そのシナリオを動かした『質問』と『情報提供』」の2つの視点で自分なりに分析する。また、理解できない点は早めに質問する。

質問と情報提供という行動の背景として、何を考えたか?上司・先輩の「思考プロセス」を分析する。

この学びのプロセスを大前提に、商談のゴールとプロセスを「丁寧にメモを取りながら」営業同行することで「凄い上司・先輩」が現場でやっていることの「タネ」が解ります。

タネが解れば、その能力は身に着けることが可能です。そのためにも、とにかく多くの言葉をノートに書きだすことをまず一番に意識して、営業同行すると良いと思います。