具体的事例から【営業の話し方】を習得し初心者を脱出する3つの秘訣

どうすれば営業初心者っぽさがなくなるのだろうか…一番簡単で効果的な方法は【営業としての話し方】を習得すること!ここでは、営業の話し方を3つの秘訣に分けてご紹介します!

僕が入社した1社目の会社では、歯科医院に対して医療機器や歯科材料を販売する新規開拓営業が主任務でした。

新規開拓営業の初心者だった僕に対して、上司であり共同創業者であるOさんが言った言葉で今でも残っていて、感謝しているアドバイスがあります。

それが…「俺が使う営業トークをとにかく丸暗記しろ!自分で営業トークを考えようとするな!時間の無駄だ!」です。

営業の場面において、一番大切なのは「お客様の心を掴むこと」です。

そのための営業の最強の武器が営業トークです。質問力も確かに大切ですが、質問してばかりでは専門性は確立できませんし、他社との違いを明確にすることも出来ません。質問して話をさせると共に、営業トークで専門性を確立したり、競争優位を確立します。

そこで、ここでは「営業の話し方」を3つの秘訣に分けて、かつ、僕の具体的事例を元にして解説します。

この営業の話し方をマスターすれば、少なくとも営業初心者には見えなくなるはずですので、ぜひ「丸暗記する!」
勢いで、具体例を読みながら、プロの営業としての「話し方」に触れてみてください。

なお、ここで紹介する「営業の話し方」は目的別に3つあります。

  • お客様の「なるほど!」「確かに!」「そうなんですよ!」を引き出す【専門性の確立につながる営業トーク】
  • お客様に「この人は解ってる!」と思わせる【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】
  • お客様に「この人は違う!」と感じさせる【圧倒的差別化につながる営業トーク】

以下でこの3つの営業トーク(営業の話し方)の具体例を紹介しつつ、イメージをもってもらいたいと思います。なお、事例は僕が現在の仕事としている「人材開発・組織開発に関するソリューション」のコンサルティング営業の場面を想定しています。

この具体的な事例を読んで、「自分の業界、自社の商品・サービスであればどのような言い方に変わるか?」を考えながら読んでください。僕にはあなたがどのような業界で、どのような商品・サービスを扱う営業かは分かりませんが、一段階抽象化して、応用すれば必ず参考になるはずです。

お客様の「なるほど!」「確かに!」「そうなんですよ!」を引き出す【専門性の確立につながる営業トーク】

営業としての専門性を確立するには「確かに!」「そうなんです」という反応をもらえる【専門性の確立につながる営業トーク】を盛り込むと効果的です。

例えば、「人材開発・組織開発に関するソリューション」のコンサルティング営業であれば以下のコンテンツを営業トークに盛り込むと効果的です。

お客様「選抜育成研修を2年で考えているんですよ」
コンサルティング営業「とてつもなく早い外部環境の変化の中でそもそも5ヶ年計画自体が中期ではなく長期計画にあたると言われています。3ヶ年計画が中期計画の位置づけです。この中期経営計画の時間軸において2年の選抜育成研修は、長いと思います」

お客様「コーチング研修が出来る講師なら誰でもいいんですよ」」
コンサルティング営業「研修を企画するにあたって、コーチングを扱うというWHATはもちろん大切です。しかし、管理職に対するコーチング力の強化という目的であれば誰がそれを言うか、その資格があるか、というWHOも大切です。管理職経験がない講師よりも、管理職経験がある講師を選びましょう。」

お客様「研修って、どこの会社さんも同じなんですよね」
コンサルティング営業「研修テーマがどうしても一般的になるのは当然です。管理職に対するテーマが部下育成や職場活性化であるのはどの会社も一緒なので。ですので、その大切な一般的な研修テーマに「御社らしさ」を付け加えカスタマイズすることです。「御社らしさ」が研修に加わることで、受講者満足度が圧倒的にアップします。その結果、この研修を企画し人事部の評価もアップするはずです。」

お客様「職場活性化のための単発研修(1日研修)をお願いします」
コンサルティング営業「本気で職場活性化という目的を達成するのであれば単発研修ではなく、研修と研修の間に学びの実践期間を設けるプロジェクトとして実施することをおすすめします。そういったプロジェクトとして実施することで、研修後の職場実践が促進されて職場活性化という目的を達成できる可能性が高まります。」

お客様「部長や課長の階層別研修を考えているのですが、何をすればいいですか?」
コンサルティング営業「階層別研修は、昇格などで会社からの役割期待が変わる転換点に応じて実施するものです。であれば、どういった転換点があり今までの役割からどう変わったのか?その役割の変更に応じて、補足すべき・強化すべきマインドやスキル面の人材課題は何か?を考えることでより実効的な施策になります」

お客様「うちには指示待ち社員が多いんですよね」
コンサルティング営業「社員には「自ら考えて行動する社員」と「指示待ち社員」の2種類があります。指示待ち社員が多い場合、ほとんどの場合そうですが、指示待ち社員が育つ風土や仕組みが必ずあります。そして、その原因の多くは指示出ししている上司の存在がほとんどです。上司が答え(仮説)を部下に与えるため、考える必要がなく思考停止が習慣化されている。一方で、自ら考えて行動する社員を育てるためには、上司は仕事の答え(仮説)を与えるのではなく、仕事という課題(論点)を与える風土づくりが必要です。指示待ち社員を減らすには、指示待ち社員を増やす風土や仕組みを変えないと根本的な解決にはなりません。」

お客様に「この人は解ってる!」と思わせる【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】

営業の場面において「この人は解ってる!」と高度の信頼感を醸成するためには、【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】を盛り込むと効果的です。

例えば、「人材開発・組織開発に関するソリューション」のコンサルティング営業であれば以下のコンテンツを営業トークに盛り込むと効果的です。

  • 企業は人なり 人こそすべて 人は心なり 心こそ大切なり
  • どうせやるなら仕事愉しくやろう 同じ生きるなら人生ハッピーに生きよう
  • 人は人によって動かされない、人は人によって使われない、人は人によって変わらない つまり「人は本人の意志のみで動く」
  • 自分で変えることが出来ないものは過去と他人。一方で、未来と自分は自分自身で変えることが出来る。自分の将来を創るのは自分。
  • 仕事と思うな 人生と思え
  • 全ての行動の起点は「興味・関心」である。人の行動を促すには、まず相手の興味・関心を掴むこと。
  • スキル・能力は枝葉に過ぎない。その根本となる脳力を開発することで、スキル・能力も高めることが出来る。枝葉末節にとらわれず、中心骨組で考えよ。
  • 今日いついかなるときに、何らかの形で、万一会社を辞めなければならないことがあったとしても、明日から一人立ちしてやっていける人。そして、独立できる力があったとしても会社を辞めない、そのような仕組みを会社内につくること。それが真の人財育成。
  • 教育とはお風呂に入るようなもの。入らなければすぐに垢がたまる。入り続けることが大切。つまり、教育は継続することが前提。
  • ありたい姿、あるべき姿がある時は「ねらう、つかむ、つくる」で考える。それらがない場合は、現状を出発点にして「つかむ、ねらう、つくる」で考える。
  • 行動とは、手・口・足が動くこと。思うだけ、考えるだけでは、行動とは言わない。そして、その行動も成果につながる行動でなければならない。成果につながらない行動は、成果につながるよう常に改め続けることが大切である。
  • 数字が物語をつくり、その物語が行動を促し、その行動が成果を生む
  • 意識が行動をつくり、その行動が習慣をつくり、その習慣が人生を変える
  • あるべき姿、仕組みは宙に浮いておりそれだけでは実現しない。大切なのは唯一地に足がついた実践行動とつなげること。実践行動をあるべき姿につなげることが出来る人は少ない。だからこそ、あるべき姿と実践行動をつなげる仕組みづくりが大切。

お客様に「この人は違う!」と感じさせる【圧倒的差別化につながる営業トーク】

営業の場面において、他社の営業と比べて「この人は違う!という感じさせることは競争優位に立つためには非常に大切です。

そのためには、他社の営業が言わないようなことを明確に伝える【圧倒的差別化トーク】を盛り込むと効果的です。

例えば、「人材開発・組織開発に関するソリューション」のコンサルティング営業であれば以下のコンテンツを営業トークに盛り込むと効果的です。

お客様「組織開発プログラムを提案してもらえませんか?」
コンサルティング営業「私たちは組織開発のプログラムを設計するにあたり、お客様にも一緒に『One Team』で考えて欲しいと考えています。本当に組織開発するには外部の我々で考えても限界があります。中と外の知恵を結集した組織開発ソリューションこそが、組織開発の成功確率を高めます。私がいつもお伝えする『One Team』は暑苦しい私のような人間のこだわりではなく、実効的な施策にするために必然的に出てくる要件のようなものです」

お客様「こういった課題を解決する研修を企画していただけませんか?」
コンサルティング営業「研修を実施するだけでは、はっきり言って課題解決にはつながりません。研修での学びや気づきを職場での実践に落とし込んで初めて課題解決につながります。職場での実践への落とし込みを前提としない研修にお金を使うのであれば、社員の賞与にしてあげた方がマシです。その方がよっぽど社員のモチベーションがアップします。本当に課題解決したいのであれば、研修と職場実践を連携させた『研修と見せかけた組織開発』にしませんか?」

お客様「私は組織変革のために『管理職』から変えていかないといけないと思っているんですよね」
コンサルティング営業「今までの話を聴いたところ、私は管理職ではなく役員が変わらないといけないと思いますね。伝説の外資トップの新将命さんも言ってましたが『魚は頭から腐ります』。組織の頭は役員。組織変革のためには役員の意識が変わらないと管理職も変わりようがないのではないですか?」

お客様「うちの会社に組織変革を推進できる変革リーダーなんていないんですよね」
コンサルティング営業「変革リーダーは必ず組織に2.5パーセントは存在します。100名程度の会社なら3名程度の役員が変革リーダーとして存在しています。そして、その変革リーダーと変革フォロワーが組織の中で16パーセントを超えた時、組織は大きく変わります。それが組織変革の王道です。変革リーダーと変革フォロワーを増やすこと。私たちの仕事は、その2.5パーセントの変革リーダーを組織の中から探し出して、つなぎ合わせ、その変革シナリオを動かすお手伝いをすることです。」

まとめ

以上が、具体的事例から【営業の話し方】を習得し初心者を脱出する3つの秘訣です。

お客様の「なるほど!」「確かに!」「そうなんですよ!」を引き出す【専門性の確立につながる営業トーク】
お客様に「この人は解ってる!」と思わせる【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】
お客様に「この人は違う!」と感じさせる【圧倒的差別化につながる営業トーク】

をぜひ自分の業界、自社の商品・サービスを営業する際の営業トークを自分なりに書いて、トークスクリプトとして準備しておくと良いと思います。

事前に書けないトークは現場でも使えません。ですので、実際の営業場面を出来るだけ具体的に想定して、お客様がこのようなことを言ってきたら、こう言おうという営業の話し方を用意しておきましょう。